イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~

「若菜先生……ひどすぎるよ。見損なった」

職員室を出てあたしは心の声を漏らした。

若菜先生はまだ若いし、話を分かってくれると思っていた。

イジメがあることを悟り、先生が解決するまでには至らなくても少しだけでも手を貸してくれると思っていた。

でも、違った。

先生はあたしたちに手を貸すどころか、加害者である綾香たちの肩を持っていた。

ううん、きっとそれも違う。

先生が恐れているのは、イジメが起こることではない。

イジメが起こり、それが広がり、自分自身へ火の粉となって降り注いでくることを恐れているのだ。

イジメが原因で自殺をする学生が出ると、その都度その地域の教育委員会や校長、教頭、担任の責任が追及される。

自殺した学生の担任はなぜイジメがあったことに気付かなかったのかと親やマスコミや学校関係者に責め立てられる。

その責任を取り、学校を追われる。

そんなことが起こることを若菜先生は恐れている。

そして、今日ハッキリした。

先生はあたしたちを前にして予防線を張った。

『私はクラスにイジメがあるかどうかの有無を確認した』

『本人たちの話も聞いて、ないと確認を取った』

もし何かがあっても、先生はそう言い逃れをするだろう。

『私は悪くない』

そう言い張るだろう。

イジメられている生徒を守ることはせず、自分を守るために必死になるのが目に見えている。
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