イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
一体何が起こっているの……?
一瞬、思考が停止してしまっていた。
今の残酷なこの状況を脳が受け入れるのを拒否したようだった。
でも、こうしてはいられない。
一刻も早く里ちゃんをロッカーから出さなくては――。
回れ右して教室から出ようと足を踏み出した瞬間、
「やめておいたほうがいいって言ったでしょ?」
綾香の声が背中にぶつかった。
恐る恐る振り返ると、綾香はポケットの中から取り出したスマホを操作し、何かの写真をあたしに向けた。
「それは……?」
「見ればわかるわ」
スマホ画面に目を凝らしたあたしはぎょっとして目を見開いた。
里ちゃんだ……。
ランドセルを背負った里ちゃんが顔を歪めて涙を流している写真。
その足元にはなぜか水たまりができている。
「なにこれ……」
あたしがつぶやくと、綾香があたしの隣にやってきて耳元で囁いた。
「これ、小6の頃の日野田。しかも、お漏らしして泣いてるところ」
「……っ」
「日野田ってね、閉所恐怖症なんだって。このとき、ロッカーに閉じ込めたらよっぽど怖かったみたいでね。出てきてお漏らししたの。面白いでしょ?」
綾香がニヤッと笑う。
その写真を見た途端、頭を鈍器で殴られたような衝撃が全身を駆け抜けた。
里ちゃんは綾香たちにイジメられたと言っていた。
でも、あたしはわかっていなかった。
綾香たちの里ちゃんへのイジメがここまで度を越えていたなんて……。
里ちゃんがこんなことをされていたなんて。
あたしは何にも分かっていなかった。
――早く。一刻も早く里ちゃんをロッカーから出さなくては――!!
「――里ちゃ……」
「ネットでバラまこうか?」
里ちゃんのロッカーに駆け寄り、力づくで里ちゃんを出そうとしたあたしに綾香が意味深な言葉を投げかける。