ある夏の思い出〜よつばの約束〜
夕方になって帰路に着いたとき、幸菜は呟いた。

「帰ってきてよかった…」

「急にどうした?」

俺を見た幸菜はとても幸せそうな顔をしていた。

「彰人に、なんかすごい会いたかったの。だから帰ってきてよかったなって」

「そうか」

俺はその幸せそうな顔にどこか悲しそうな感情があるように見えた。少し辛そうな…

「ねぇ…」

「なんだ?」

「またどこか行かない?」

「そうだな…宿題も終わったし」

「嬉しい!どこ行く?」

「どこでもいいよ」

「じゃあ考えとくね!」

悲しそうな表情は気のせいだったのだろうかと思うような明るい笑顔だった。
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