ある夏の思い出〜よつばの約束〜

現れた少女

夏休み1日前のことだった。

いつものように家を出て自転車を漕いで駅に向かっていた。

時間があっるからゆっくり漕いでも間に合う時間で、俺はゆっくり漕いで周りを見ながら明日から始まる夏休みなにをしようかと考えていた。


いつもと同じ朝の風景。

犬の散歩をしているおばちゃん、田んぼのあぜ道をうろついているおっちゃん、新聞を取りに出てきた小さい子。本当にいつも通りだった。

周りを見ながらゆっくりと漕いでいた俺の目に、ふと「いつも通りじゃないもの」が飛び込んできた。


白いワンピースを着た髪の長い少女がこっちを見ていた。

なんだか見たことがある、と思った次の瞬間、

「…彰人」

懐かしい声で名前を呼ばれた。

「幸菜…」

俺は、小さい頃東京へ引っ越していった忘れられない幼なじみの名を呟いていた。
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