ある夏の思い出〜よつばの約束〜
夕方になって帰路に着いた。

「帰ってきてよかった…」

ぽろっと口から滑り出た。

「急にどうした?」

「彰人に、なんかすごい会いたかったの。だから帰ってきてよかったなって」

「そうか」

幸せで幸せでしかたなくて。でも本当はなかった時間で、この時間もいつか終わるのが辛くてしかたがない。

「ねぇ…」

「なんだ?」

限りある時間。勇気を出して。

「またどこか行かない?」

「そうだな…宿題も終わったし」

ほっとして、とても嬉しくなった。

「嬉しい!どこ行く?」

「どこでもいいよ」

「じゃあ考えとくね!」

せっかくの時間をメソメソして終わらせてたまるか。今度こそ、ちゃんと–––


…あれ?


–––私は一体、何を伝えようとしているんだろう…
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