鶴さんの恩返し
すると、鶴さんはそっと立ち上がって私の隣に腰かけてきた。
そのままゆっくりと肩に手を回し、優しく抱き寄せてくれた。
「ごめんね。小春さん、ごめん。ひとりにさせてごめん。本当に本当にごめん」
ほんの少し震えている彼の声は、私の耳に溶けるように届いた。
鶴さんの腕の中で、ふるふると首を振る。
「違うよ。謝らないで。謝らなきゃいけないのは私。あの日、鶴さんに酷いことを言ってしまったから」
「それは僕も同じだよ」
「だけど、ずっと言いたかった。ごめんなさい………………」
きつく、きつく抱きしめ合った。
彼の温もりが全身に伝わってきて、それだけで安心する。
こんなに温かいのに、やっぱり死んでるの?
私には、もう分からない━━━━━。