鶴さんの恩返し
その短冊の隅っこに、私が書いたものではない小さな文字があった。
『ありがとう』
それは、鶴さんの字だった。
彼の字を私が間違うわけがない。
頬を伝っていた涙は、いつの間にか止まっていた。
そうか………………。
鶴さんは、私のこの願い事を聞いて夢に出てきてくれたのかな。
いや、夢じゃない。
だって彼が伝えてくれた「ありがとう」は、こうして文字になって私の元へやって来た。
彼の誕生日でもある七夕がくれた、奇跡のプレゼントだと思うことにした。