鶴さんの恩返し
あとがき
「鶴さんの恩返し」完結致しました。
ここまで読んでくださった優しい皆様に、心から感謝申し上げます。
このお話は東日本大震災がベースになっています。
作り話はしたくなかったのできちんと日付も記しましたし、私の体験した部分も少しだけ織り交ぜました。
津波で亡くなった人がたくさんいるのはもちろん全国的にも知られていることだと思いますが、行方不明者の数は東北地方に住んでいない方はそこまで把握していないかと思います。
いまだに2500人以上、見つかっていません。
津波の被害が大きかった沿岸部に住まう方が「かたりべ」というものをしていると聞いて、先日、家族で参加したのですが……。
当時の状況や行方不明になってしまった家族、そして残された遺族の思い。
後半は涙なしには聞く事は出来ませんでした。
感想は人によって様々です。
「見つかって欲しい」「今も探し続けている」「地震さえなければ……」「死んだなんて思いたくない」「夢にも出てきてくれない」
でも、共通するのは「会いたい」という気持ちでした。
それを作品に表したかった。
ラストは主人公の小春がひとりで生きていくことを決めて終わるというものにしましたが、きっとこの結末は賛否両論だろうなと思っています。
違う人を愛して、その人と支え合う方がいいに決まっています。
ですが、小春と鶴さんみたいに固い絆で結ばれていて、他の人が入り込めない場合だってあると思うんです。
それならば、消えてしまった恋人と結婚の約束を交わして、その人を一生愛し抜くのもいいんじゃないかと思ったわけなのです。
愛の形には色々ありますから、今回書いたこのふたりはそれを望んだと思っていただければ幸いです。
九州でも地震による甚大な被害が出ています。
ニュースを見る度に胸が痛みます。
天災はいつどこで起きるか分かりません。
伝えたい言葉は伝えられていますか?
後悔のないように過ごせていますか?
ぜひ、自分の大切な人に時々想いを伝えてみてください。
言葉で伝えるのが恥ずかしい方は、手をつなぐのもいいかもしれません。
想い合うということは素晴らしいことだと思います。
普段ラブコメばかり書いてる私の、わりと真剣な作品でした〜。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
柴本 奏