なくした時間にいてくれた
まだ受験もしていないけど、合格してから決めるのでは遅いかもしれない。東京は隣だから、片道一時間ちょっとあれば通える距離ではある。

でも、大変かな? どうだろう。


「そうね、もし楓花がここを出ていくとなると本当に寂しくなるわね。でも、大変だと思うなら向こうで一人暮らしをしてもいいけど、一人暮らしも大変だと思うわ」

「どっちにしても大変だよね。そのことはまたあとで決めるのでもいい?」

「うん、いいわよ。今夜もまだ勉強するんでしょ? 無理しないで頑張ってね」

もし私がここを出たら、この家は両親二人だけになる。花実がいなくなって寂しい思いをしているのに、さらに寂しくさせてしまう。

それと、経済的に考えると一人暮らしをするよりは自宅から通学したほうが安い。

とりあえず自宅から通学することにして、通うのが大変になったら変えるかな。

考えることはいろいろあるけれど、まずは許可をもらったので、勉強だ。
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