なくした時間にいてくれた
知奈はまた俯いて、話を続ける。


「いろいろと後悔していたのに……学校に出てきた楓花に岡くんが優しくしているのを見て、本当は私に隠れて岡くんとずっと仲良くしていたんじゃないかと思って。ムカついちゃって……」

「そうなんだ」


岡くんが心配して私に話し掛けてきてくれていたのは花実からのメッセージに書いてあった。どんなふうに声を掛けてくれたのか具体的なことは書いてなかったけど、なんとなくその様子は想像できた。

私に優しくする岡くんを見て、知奈が勘繰る気持ちは分かる。でも、ずっと仲良くはしていない。最近話すようになったくらいだ。


「でも、一人でいる楓花に優しくするのは岡くんらしいなと思ってね。楓花に久しぶりに話し掛けられたときもひどいことを言って、ごめんね」

「ううん」


知奈が謝ってくれるのは嬉しいけど、今になって謝ろうと思った理由はなんだろう。花実が亡くなったから？
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