なくした時間にいてくれた
「良かったら、これ食べてね。今日焼いたの」

「わあ、ありがとうございます!」


マスターの奥さん手作りのチョコチップクッキーをいただいて食べる。

サクッとした食感で甘い中でのビターチョコレートがほろ苦く、美味しい。


「美味しい!」

「うん、美味しいね。ここに松本さんを連れてきたいなと思っていたんだ」

「どうして、私を?」

「松本さん、いつも一人で頑張っているから、ここでのんびりと寛げたらいいなと思ってね」


私のことを思ってくれる岡くんの気持ちが嬉しいけど、恥ずかしくもなり、俯いて「ありがとう」と伝えた。


「今日の模試、どうだった?」


恥ずかしさから話題を変えたくなり、模試のことを聞く。


「んー、まあまあかな。松本さんは?」

「英語か難しかったから、不安なんだよね」

「うん。確かに難しかったよね。東京の大学を志望しているんだよね」

「うん。あ、そうだ。岡くんはどこを受ける予定なの?」
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