なくした時間にいてくれた
「二人ともお疲れさま。良かったら、チーズケーキ作ったから食べてね」

「わあ、美味しそう。ありがとうございます!」


ここで作るケーキやお菓子は奥さんの趣味で作っているものだから商品にはしていなく、時々常連客にあげたりしているらしい。

しっとりとして濃厚な味のチーズケーキを商品にしないのがもったいないと思うくらい美味しかった。岡くんと「美味しいね」と笑い合う。ホッと出来るひとときでゆっくりと店内を見回した。

今日は混雑していてカウンター席が二つ空いているだけで、ほぼ満席状態だ。あちこちから話し声が聞こえて賑やかだけど、まったりとした雰囲気は前に来たときと変わらない。


「やっとのんびり出来る感じだよね」

「岡くん、バイトはずっとしているの?」


受験生なのに少しの時間とはいえ、バイトをしながら勉強をするのは大変なのではないかと頭の隅でいつも気になっていた。

聞いてみようと思っていたのに、受験が終わった今に聞くことになってしまったけど。
< 136 / 189 >

この作品をシェア

pagetop