なくした時間にいてくれた
中身が分かった岡くんは満面な笑顔でお礼を言う。ものすごく嬉しそうな顔に私まで嬉しくなって、笑ってしまった。

喜んでくれると嬉しいなと、思いながら作ったけど、こんなにも喜んでくれて、私の方が感謝したくなるくらいだ。


「味は一応親にも食べてもらったから大丈夫のはずだけど、岡くんの口に合うといいけど……」

「うん。家に帰ったら食べるね。今年はやっぱりバレンタインもないと思っていたし、もらえるなんて思ってもいなかったから、嬉しいよ。本当にありがとう」


大事そうに持って、カバンにしまってくれた。喜んでもらえて良かった。


「そうそう。花実ちゃんの写真はどうするの? 友だちに連絡はしたんだっけ? 渡しに行くのなら俺も一緒に行きたいと思っているんだけど」


花実の写真のことも今日話そうと思っていた。岡くんも気にしていたようで、先に話をしてくれた。

母に花実の友だちを教えてもらい、一人の子が中学も同じで中学から仲が良かったがことが分かり、その子の連絡先も分かった。まずその子に連絡するつもりだ。
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