なくした時間にいてくれた
しかし、何人かがチラリと私を見るだけで、誰も寄ってこない。お姉ちゃんの友だちはまだ登校していないのかな、

どうしたらいいかな。


「おはよー。あ、松本さんじゃん。もう大丈夫なの?」


私のあとに入ってきた男子に声を掛けられ、思わずすがりたくなった。

変に思われるかもしれないけど、いつまでもドア付近に立ってはいられない。


「あの、私の席って……」

「えっ? 事故の後遺症かなにかで覚えていないの? 松本さんの席は窓際の後ろから二番目だよ」

「あ、そうだった! なんか頭を打ったせいで度忘れしちゃったみたい。ありがとう」


私は急いで教えてもらった席に行って、座る。カバンを横にかけて、机の中を探るが英語辞書が入っているだけだった。

さすがお姉ちゃんだ。教科書を置いて帰ることはしない。家に揃っていたのかな?

あまりよく見ていない。

それにしても誰も近寄ってこないな。

教室内を見る限り、空席がないから多分全員揃っている。だから、お姉ちゃんのところに誰も来ないのはおかしい。
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