なくした時間にいてくれた
「大学が決まったらさ、遠出しない? 日帰りでいいんだけど、朝から夜まで一緒にいられたらいいなと思って。どうかな?」

「それって、デートということ?」

「うん。進学先が決まったらさ、ちゃんと付き合うよね? だから、記念というか初めてのデートというか、出掛けたいと思わない?」

「うん、約束だからちゃんと付き合うよ。そうだね、どこか行きたいよね。どこに行きたいかお互い考えておこうか」


私にデートと言われたのが照れくさかったのか、岡くんが少し顔を赤くしながら話すから、私までそれが移って、赤くなってしまう。でも、一日デートが出来るのが嬉しい。

場所をどこにしようかと考えるだけでワクワクして楽しくなる。

こんなに楽しみになるのはものすごく久しぶりで、合格発表の日まで私の顔は緩みっぱなしだった。

母には「受験から解放されるとそんなにも表情が変わるのね」と誤解されたけど。


そして、迎えたドキドキの合格発表日。
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