なくした時間にいてくれた
あれ? あんな傷、あったかな?

こめかみ辺りにある小さな傷かあった。今までも見ていたはずなのに気付かなかった傷だ。髪の毛で隠れていたのかもしれない。

小さくて、擦った感じの傷だからそれほど気にすることはなのかな。

それにしても、本当によく寝ている。寝不足でもなかったはずなのに……困ったな。いろいろと困った。


「いつ起きるんだろう?」

「そうね。目が覚めないと連れて帰ることも出来ないしね」

「本当に、命に別状はないの?」

「そう言われたんだけどね。検査もしたし」


困っているのは私だけではない。母も同じだ。

動かない人をずっと見ていても何もできないからと一時間だけいて病院を出た。

明日は学校に行こう。

青空にふんわりと浮かんでいた1つの雲を見て、決心した。
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