なくした時間にいてくれた
読書が趣味なお姉ちゃんの影響もあって、私も読書は好きだからかな。高校生になってからはあまり読んでいないけど。せっかくだからこの機会に何か借りて読もうかな。


「ここに来てたことも思い出せない?」

「うん……どこで食べても大丈夫なのかな?」

「昼休みは開放されているから大丈夫だよ。でも、ここで食べているのは松本さんしかいないけどね。俺が知っている限りでは」

「私だけ?……そうなんだ」


それって、ものすごく寂しい人じゃないの。

お姉ちゃんは一人で嫌じゃなかったのかな?

岡くんが返却している間に私は奥のテーブルの窓側に座った。10センチくらい開いている窓から入ってくる風がほんの少しひんやりしていて気持ちがいい。

太陽にあたるとまだ暑いけど、夏が終わって秋に向かっている感じがする。

私は二つの季節を感じられる季節の変わり目が好きだ。

お弁当を広げていると岡くんが近付いてきた。教室に戻らないのかな?


「座るところは覚えていたんだ」

「えっ? ここなの?」
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