なくした時間にいてくれた
突然出てきた柴山くんの話題に私の心は大きく揺れた。柴山くんが私のことを聞いてくれたなんて、未歩の言う通りで飛んで大喜びしたい。

にやけそうになる口元を手で隠した。

柴山くんは私の好きな人。夏休みに私たち女子四人と柴山くんを含む男子四人で花火大会に行った。

女子は全員浴衣を着ていった。私は白地にピンクや赤の花模様の浴衣を着ていったけど、他のみんなに比べて子供っぽい浴衣だったので失敗したなと思っていた。

だけど、柴山くんは「松本らしくてかわいい」と少し頬を赤くしながら言ってくれた。

あの時も飛んで大喜びしたかったな。

あとであの時二人だけで撮った写真をあげようと思っていたのに、まだ渡せていない。

早く元に戻って渡したい。

風が強くなってきたせいか雲の流れも早くなってきた。そんな空を見上げて、強く強く願う。

神様、早く元に戻してと。
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