なくした時間にいてくれた
母が出ていったのを確認してから、リビングのテーブルに成績表を置いた。母は毎日病院に行ってるが、私の体に変化はない。一生あのままなのかな。

お姉ちゃんの部屋で、カバンから取り出したスマホを机の上の置いた。私は自分のスマホを使っている。でも、岡くんとのやり取りとお姉ちゃんへメッセージを送るのにしか使っていない。

お姉ちゃんのスマホはパスワードが分からないから机の引き出しに封印してある。

母には壊れて動かなくなったけど、必要性を感じないから新しいのはいらないと話した。

岡くんと家族以外に連絡を取ることはない。遊んで帰宅が遅くなることもないのでわざわざ家に連絡するのに必要もない。

学校内では使用禁止となっているから、もし私の体が急変するとか何かあった場合は学校に電話を入れることになっている。

岡くんからの着信メッセージが表示された。『了解。また明日』と。短いやり取りでも繋がっているのは安心できる。

お姉ちゃんへメッセージを送る。

『今日は文化祭だったよ。つまらなかったから昼過ぎには帰ってきた。これからお姉ちゃんの友達だった人を探します』
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