遠回りして気付いた想い


昼休憩。
俺は、コンビニで買い込んだ弁当を会社のカフェスペースで黙々と食べていた。

「高橋さん、見つけ」
そう言って声を掛けてきたのは、総務の岩瀬さんだ。
彼女、中々の人気者だが、俺は興味ない。
「高橋さん。今日、時間ありますか?」
猫撫で声で聞いてくる。
俺としては、嫌気が射す声だ。
「今日は、予定があるから無理だ」
朝、雅斗から亜耶の写真付きで誘い込まれた。
まぁ、俺としては嬉しかったんだがな。
「それ、嘘ですよね。私が調べた限り、特定の彼女居ませんよね」
と断言してきた。
何だこいつ。人の事詮索して、何が面白いんだ。
不快に思いながら。
「そう見えるだけなんじゃないか?」
俺はそう言って、食べ終えた弁当をゴミ箱に片し、席を立つ。
彼女は、慌てたように。
「エッ……」
と声を上げて直も追ってこようとする。
「俺、フィアンセ居るから」
堂々と口にして、自分の部署に戻った。
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