遠回りして気付いた想い
俺が部屋を出たと同時に雅斗も部屋を出てきた。

「ありがとうな、遥」

と、すまなそうに言う。

「何が?俺は、俺がしたい様にしただけだ。お礼が言いたいのは、俺の方だ」

と、雅斗に言う。

本来なら、今日会えるなんて思ってなかったんだから…。
それに、直接ではないにしろ、プレゼントは渡せたんだ。
感謝しかない。

「どうせ、亜耶の事だから、半分落ちていただろ?」

雅斗が苦笑いしながら言う。

「あぁ。あんな顔、あいつに見せられないしな。早めに言ってよかったよ」

そう、まだ完全に寝入ってなかった事に感謝だ。

「遥さん。今日は、もう遅いんで、泊まっていったら」

下に降りて行けば、そう母親が言い出す。

「気を遣ってもらってありがたいんですが、明日も朝早くから仕事なので、今日は帰ります」

接待の途中で抜け出してきたから、明日は埋め合わせしないといけないし…。

「そうですか。体に気を付けてくださいね」

って、心配される始末。

それもそうか。

高校の時から、入り浸っていたからな。

「ありがとうございます」

俺は、玄関に足を向ける。



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