cutie honey
「…東さん」
「ん?」

私の呼び掛けに、東さんが足を止め、私を見下ろす。

その瞳は、いつも優しい。

「…どうしたの?」
「…えっと、あの、中学の時、私の事、助けてくれましたよね?」

私の言葉に、東さんはしばし考える。

「…覚えてないかもしれませんが、…イジメられてた私を助けてくれたんです。東さんが」

…。

人違い、か。そうだよね。そんな奇跡みたいな事、ある訳ない。


「…覚えてるよ」

「…ぇ」

…うそ。本当に?


「あんまり綺麗になってるから、言われるまで、あの子だって分からなかった」

その言葉に、私は口を覆った。


「…俺さ、あの時、清水さんの事が好きだったんだ。物静かで、笑うとかわいくて」


…私と、同じ気持ちだった?
< 36 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop