cutie honey
嬉しさと過去の事だと思う気持ちが交差する。

もう、十数年前の話だ。

しかも今は、三枝課長の事が好きで。

でも、今目の前に現れた憧れの人。

ただただ困惑するばかり。

そんな私を見て、東さんが困ったような笑みを浮かべた。

「混乱するよね。俺も混乱してるし。でも、また会えて嬉しいよ」

「…すみません、なんとも言えない気持ちで」

素直にそう言えば、東さんは笑った。

「素直な子は好きだよ」

その言葉にドキッとする。

…その後、駅で別れた私達。

電車に乗っている間も、道中も、混乱した頭を整理しようとしても、なかなか出来なくて。




「…清水さん」

「…三枝、課長?」


アパートのところに、三枝課長がいて、驚いた。

「どうしたんですか?」
「…これ、デスクの上に忘れてた。帰ろうと思ったら見つけて。探してたらいけないなと思って」


そう言って差し出されたのはスマホ。

忘れている事にも気付かなかった。
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