cutie honey
この人を、憧れの東さんと間違えるなんて。私は情けなくなって俯いた。

…その時だった。

大きな影が、私の前に立ち塞がった。


『この子をイジメるなら、まずは、俺を倒してからにしてくれる?』

…会社で私を助けてくれた声と同じ。言葉も同じ。

この言葉は、他にもどこがで聞いたことがある。

顔を上げると、スーツを着た長身の男性。

…私は、この後ろ姿を知ってる。

…その後ろ姿から、向こうにいる東さんが少しだけ見えた。

その顔は、明らかに動揺している。

「…三枝」
「次、この子イジメたら、ただじゃおかないからな…仮にも、お前の上司だからな」

その言葉に、東さんは下唇を噛み締めると、その場を足早に去って行った。


「…ホント、虐められるの好きだよな」
「違っ!…三枝…か、ちょう」



…怒ろうと思ったのに、突然抱き締められ、言葉を失った。


どうして、抱き締められたの?
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