【禁后-パンドラ-】
もう1つは13歳の時、同様に鏡台の前で歯を提供するように指示される。

これも代によって数が違う。

自分で自分の歯を抜き、母親はそれを鏡台の2段目、やはり隠し名を書いた紙と一緒にしまう。

そしてまた1日中、母親は鏡台の前で座って過ごす。

これが2つ目の儀式。

この2つの儀式を終えると、その翌日から16歳までの3年間は『教育』が全く行われない。

突然、何の説明もなく自由が与えられるのだ。

これは13歳までに全ての準備が整った事を意味していた。

この頃には、既に母親が望んだ通りの生き人形のようになってしまっているのが殆どだが、僅かに残されていた自分本来の感情からか、ごく普通の女の子として過ごそうとする娘が多かったそうだ。

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