【禁后-パンドラ-】
町との因縁
これでこの儀式は完成され、目的が達成される。

この翌日から母親は四六時中自分の髪をしゃぶり続ける廃人のようになり、亡くなるまで隔離され続ける。

廃人となったのは文字通り母親の脱け殻で、母親とは全く別のもの。

そこにいる母親はただの人型の風船のようなものであり、母親の存在は誰も見た事も聞いた事もない誰も知り得ない場所に到達していた。

これまでの事は全て、その場所へ行く資格(神格?)を得る為のものであり、最後の儀式によってそれが得られるというものだった。

その未知なる場所ではそれまで同様にして資格を得た母親達が暮らしており、決して汚れる事のない楽園として存在しているそうだ。

最後の儀式で資格を得た母親はその楽園へ運ばれ、後には髪をしゃぶり続けるだけの脱け殻が残る…そうして新たな命を手にするのが目的だったのだ。

残された娘は母親の姉妹によって育てられていく。

1人でなく2、3人産むのはこの為たった。

母親がいなくなってしまった後、普通に育てられてきた母親の姉妹が娘の面倒を見るようにする為だ。

母親から解放された娘は髪の長さが元に戻る頃に男と交わり、子を産む。

そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かう訳だ。


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