【禁后-パンドラ-】
数時間ほどして、やっと両親が出てくると『2人はわしらで供養する。夫は探さなくていい。理由は今に分かる』と住民達に告げ、その日は強引に解散させた。

それから数日間、夫の行方は摑めないままだったのだが、程なくして八千代の家の前で亡くなっているのが見つかった。

口に大量の長い髪の毛を含んで死んでいたそうだ。

どういう事かと住民達が八千代の両親に尋ねると、『今後八千代の家に入ったものはああなる。そういう呪いをかけたからな。あの子らは悪習からやっと解き放たれた新しい時代の子達なんだ。こうなってしまったのは残念だが、せめて静かに眠らせてやってくれ』と説明し、八千代の家をこのまま残していくように指示した。

これ以来、2人への供養も兼ねて、八千代の家はそのまま残される事となったそうだ。

家の中に何があるのかは誰も知らなかったが、八千代の両親の言葉を守り、誰も中を見ようとはしなかった。

そうして、2人への供養の場所として長らく残されていたのだ。

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