【禁后-パンドラ-】
子供の頃に、僕の母と和也の両親、そしてもう1人男の子(Aとする)を入れた4人であの空き家へ行ったのだ。

僕達とは違って夜中に家を抜け出し、わざわざハシゴを持参して2階の窓から入ったそうだ。

窓から入った部屋には何もなく、やはり期待を裏切られたような感じで、隣にある部屋へ行った。

そこであの鏡台と髪を見て、夜中という事もあり凄まじい恐怖を感じる。

ところが4人のうち僕の母はかなり肝が据わっていたようで、怖がる3人を押し退けて近づいていき、引き出しを開けようとさえしたそうだ。

流石に3人も必死で止め、その場は治まるが、問題はその後に起こった。

その部屋を出て恐る恐る階段を降りるとまたすぐに恐怖に包まれる。

廊下の先にある鏡台と髪。

この時点で3人はもう帰ろうとするが、僕の母が問題を引き起こしてしまった。

僕達の時の桃花の妹のように引き出しを開け中のものを出したのだ。

僕の母が取り出したのは1階の鏡台の1段目の引き出しの中の『紫逅』と書かれた紙で、何枚かの爪も入っていたそうだ。

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