キエルビト
能力者
 「理由を言えば、きっと私を軽蔑することになる。」
  きっと、どころじゃないけれど。
 私の心が強く疼く。
  ああ、この後の悪夢が目に浮かぶ。数分後には現実になり、私の首を絞めるであろう、三人の拒絶するような目が。
 それを悪夢だと思っている時点で、私はもうおかしくなっているのかもしれないが。
 「しないよ。」
  真顔でそう言われる。だが、さほど気にならない。
  口ではなんとでも言える。きたる時が来ればその言葉の真実も明らかになるのだから。
  そう自分を蔑みながらも、本当はちょっと期待していた。その期待を隠すため、より一層自分を憎む。
 「今からの話は、私の正体も謎も全部含まれているから。無論、汚い部分も。」
 「いいよ。全部聞きたい。」
  ふぅ。
 息を短く吐き、吸う。
  すー。
 「私は、能力者なの。」
 「…」
 「…」
 「…」
  見事に全員がきょとんとする。私としてはかなりの大秘密なのだが…。
  無理もない、か…?
 聞いたところ、"表の世界"では知られてはいけない危険度11の情報(危険度1~13)らしいし。
 「まず、能力者や研究所について説明する。」
  淡々と話をすすめる。
 「…能力ってあれか?超能力みたいなモン?」
  超能力。それは"能力"の一種。
 「それだけじゃない。」
  まず、能力の器を持つ者の生まれる確率と研究所とはどういう所なのかをざっくりと説明する。
  (詳しくは前に)
  それから"研究所"で体験したことをすべて話すことにした。
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