キエルビト

明かされる第一の事実

研究。通称"地獄時間"。  
 ・そ毎日一時間行われる。
 ・封鎖された環境で固い椅子に座らされ、手足や体を固定されるので、身動き一つできない。
 ・目を閉じることを許されない状態で、自分の脳が研究道具でぐちゃぐちゃにされているところを眺める。
 ・この過程で、個体は鋼の精神をてにいれることとなる。
 ・麻酔を使うことはないので、痛みはそのまま本人に届く。
 ・この過程で、個体は痛みをものともしない無の心を手に入れる。
 …意識はそのままなので、一般人ならまず肉体も精神も持たないだろう。

  生まれてすぐ行われる"能力者検査"に引っかかってしまった赤ちゃんは、施設に連れて来られ、研究所のとあるスペースで育てられる。
 そしてある程度大きくなると、歳で分けられた牢にいれられる。(なぜか17歳までの牢しかない。)
  そのため、研究されるのは全て研究所で育った子供となる。(ごく一部イレギュラーな個体もある。)
  初めの研究を受ける歳は…齢3。どう考えても恐怖に耐えられる年齢ではない。 
 特に、一番初めの"研究"は精神が崩壊寸前になり、脳がショートすることもある。
 なにせ、その時間で生死が決まるのだから。
 初めの一時間で耐えられなかった者は、即死ぬ。 
  この第一試験では半数以上がふるいにかけられるのだ。研究に慣れていないこともあるため、最も死ぬ確率が高い。
  もし一回目を乗り越えたとしても、二回目、三回目がある。(二回目以降は死ぬ確率がぐっと落ちる。)
 希望なんてこの施設に連れて来られた時点でないといっていい。
 いつ死ぬかわからないのだから。 
 

 牢に入った頃は、周りに沢山の人がいた。
 そこで絶望を知らなかったはじめの私達は、友達を作ったりして会話をし、日々の楽しみを作っていた。
  だが、必死の工作も、日に日に減る友達の前では無駄だった。
  そして、私の一番の親友だった子が帰ってこなかった時、気づいた。
 残された者の辛さに。
 友達の無意味さに。
 いつ死ぬかわからない状況下で無理に仲間を作ると、その分失った時の辛さが増えてしまう。
  だから、私は周りの一切を視界からシャットダウンした。
  狂ってる?いや、"ここ"ではそれが"常識"なのだ。
  
 
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