あの日あの時あの場所で。
廃校舎の正門を出て、本校舎の昇降口についた。
私は二年生だから、右から四番目の列の下駄箱のところに入ろうとしたとき、陵太が『えっ』と、言った。
「え?どうかした?」
「えっ、えぇ!?り、莉子って…何年生?」
「二年生だけど…?陵太もでしょ、何言ってんの」
「いや…、僕は一年生…だ」
えっ…!?
えええええぇぇぇぇええ!?
「嘘…!?」
「本当本当…!え、ずっと一年生だと…」
「私は普通に話しかけてきたから二年生だと…」
陵太って一年生なんだ…。
み、見えない。だって、背でかいし、敬語もつかってなかったから。
「ごごごごめんなさい!先輩だと思わず…。ため口でごめんなさいっ!」
急に改まった口調で謝り始めたから、びっくりした。
「いやいやっ、いいよ。大丈夫!ていゆうか、これからもため口でいいから。慣れないしね」
「いいんですか…?先輩」
「わ~!やめて!なんかやだ!」
改まりすぎて、気持ち悪い!
「分かった!ごめんな。あ、そうだ!昼休み会いに行くな!なん組?」
「三組…」
「了解!じゃ、またな」
そう言って走って行ってしまった。
昼休み、会いに来てくれるんだ…。
同い年の友達よりも大切にしてくれてる…?
それが少し、嬉しいなんて。