あの日あの時あの場所で。


「―…子!…莉子…!」

「…んん?」

誰かの声がする…。



「莉子っ!!」

「う…わぁっ…!?」

そこにいたのは陵太。

陵太の声か…。どうりで聞き覚えのある声だと思った…。


「な、なんで…」

「なんでって、会いに行くって言ったじゃん。今、昼休みだけど」

「えっ…。もうそんな時間…?」

私、そんな長い間も寝てたんだ…。自分でも驚く。


「で、なぜか泣きながら寝てる莉子がいた」

「な…っ!?なん…」

なんで泣いてるって…。


「あ。ホントに泣いてた?」

「泣いたつもりはないんだけど…」

「夢?」

「…うん」

「どんな夢?」

「そ、それ、は…」


言えるわけないよ…だって、あんなの…。


「ちょっとね、昔の夢で…」

ははっ、と笑いながら言ってみた。
本当は笑えるようなことじゃ、ないけど。

だって、なんか嫌だったから。


「笑えるような夢だったの?泣いてたくせに」

「…っ」

バレ、た。

「無理して笑うなって」

「ごめん…」

「や、別に怒ってるわけじゃないから。勘違いしないでね?」

「…うん」

「ま、話したいときに話してくれればいいから!」

「…うん」


まったく…どこまで優しいの。

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