あの日あの時あの場所で。
「あっ。帰ってきた」
「死に行ったわけじゃないんだ~」
みんなの視線が軽い。
私が死んでもやっぱり誰も泣かない気がする。
その時“あること”に気づいた。
「…まじか」
私のお弁当箱が私の机の上にばらまかれていて、ぐちゃぐちゃになっていた。
…こんなことまでするんだ。
でも、こんなのまだマシな方。
私はゴミ箱を持ってきて片付けを始めた。
すると…
「きったな~い!」
瞳が上から目線で話しかけてきた。
「…そうだね」
「ははっ。やめないの~?」
「汚いから」
「…じゃあ」
瞳がゴミ箱を奪ってきた。
…なにをするつもり…?
「もーっと、汚くしてあげる!!」
「…っ」
ゴミ箱を逆さまにして、なかに入ってたごみ、私がついさっき入れたごはんの一部などが私の上から降りかかってきた。
…な、なにを。
「まじ汚い。キモい。…って、もともとか!」
「ちょっ、ウケる。瞳やるね~」
「あっ!もっといいこと思いついちゃった~」
「なになに~」
千尋が興味津々に瞳に聞いてくる。
そして、瞳が私の耳元で、
「放課後、一人で裏庭に来なさい。一人でよ。あと、誰にも言うんじゃないわよ」
「なん、で」
「楽しいことしてあげるだーけ」
…楽しいこと?
なんか、怖い…。
あ、でも放課後って陵太が昇降口で待っててくれるって約束だよね…。
どうしよ…。
でも、私が来なかったら普通帰るよね。
だから…
「分かった」