あの日あの時あの場所で。
――陵太…。
なんで、陵太が出てきたのかは私にも分からない。
…でも、陵太なら来てくれるかなって。
勝手に思って。
「…んなこと、ないよね」
「なに言ってるか分かんないんですけど~?」
けど、きっと、真波は助けてくれない。
瞳がいるから。
「…陵太っ…」
「うっさい!!―これで、最後だよっ!!」
「…っ」
ねぇ、助けてよ…。陵太…!
私の光になるって、言ってくれたじゃん。
嘘つき…。
頬から流れ落ちた涙。
…助けて。
「陵太…!!」
―ブンッ。
「やめろっ!!」
…え。
「それ以上、莉子先輩になにかしたら、先輩だからって容赦しませんから」
遠く、上の方から聞こえた声。
…この声って。
「なに、あいつ…」
「ねぇ、瞳…。ヤバイよ見られた、逃げようよっ…」
「…ちっ。このこと、先生にチクんなよ!」
それだけ言って瞳と千尋と芙佳は去っていってしまった。
けど、真波は下を向いたまま動かなかった。
「莉子、そこで待ってて。今行くから」
―陵太?
この声。
それに、私のこと名前で呼ぶ男子なんて陵太しかいないはず…。
「陵太ぁ…」
…なんで、陵太はいつも。
「莉子!大丈夫?」