あの日あの時あの場所で。
「え、と…。千尋と芙佳は…?」
「話、そらさないでくんない?」
――怖い。
これは、正直に言わないとヤバいパターンか…。
抜け出すことを、言うの…?
でも、それは二人だけの秘密だし…言えない。
「え~?別に?大したことは話してないよ。ただフツーの話!」
「…そっかぁ。ごめんねぇ、適当なこと言って」
「う、ううん!全然っ」
こ、怖かったぁ…。
…でも、嘘ついちゃった。
でも抜け出す計画を瞳に言っちゃったら、ダメじゃん。
だから、私がしたことは正しい。
「じゃあ私は教室に戻るね」
「うん。…じゃあねぇ」
ふぅ…と息を吐きながら屋上のドアを開けて、出ようとした。
「――さっきの言葉、信じていいんだよね?」
――ビクッ。
「…えっ?」
その時、とてつもないぐらいの低い声が後ろから風と共に聞こえてきた。
さっきの言葉…って…?
「ははっ!冗談だよぉ~」
「あ…っ。あはは…。だよ、ね。ビックリしたぁ」
いったい、なにがしたいの瞳は…。
これがこの日私の心の中に残った疑問だった。