あの日あの時あの場所で。



私、大越莉子。
高校二年生。

今、屋上にいます。

今いるこの屋上は本校舎の隣にある廃校舎の屋上。

誰もいないから、ちょうどいいかも。

「ふぅ…」

カシャン、とフェンスに手を当ててみる。


―ねぇ、君はなにがしたかったのかな?

私のことが嫌いだから、あんなことしたのかな。
瞳が、怖かったの…?
だから、私を裏切ったんだ。

…最後に本当の気持ち、聞きたかったな。


「…さよなら」

フェンスを乗り越えて足場ギリギリの所へ踏み入れた。

うわぁ…高…。


「落ちたら痛いかなぁ?」
…なんてね。

痛いに決まってるじゃん。


深呼吸をしてから、足を踏み出そうとしたとき、

「めっちゃ痛いと思うよ?」

「…っ!?」

だ、れ…?

そこにはうちの高校の制服を着た男子が立っていた。


「死ぬつもりなの?」

「あっ、あんたに関係ないでしょっ…!」

「まぁ、確かに?」

なにコイツ…!
急に現れたと思ったら、止めないでなんなの!?

…ま、別に止めてほしいわけじゃないけど。

「…なんで?死ぬの」

「…嫌だから、毎日が」

答えてしまった。
なんかそのまっすぐな目に吸い込まれそうになってしまって。



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