あの日あの時あの場所で。
「嫌って、全部?」

「当たり前でしょ!!」

嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!!
全部、全員、何もかも嫌いっ!

思い出させないでよ…っ!

「そんなこと、ないとおもうんだけどなぁ」

「ふざけないでよ…!」

あんたみたいな普通な人に私の何が分かるっていうの!?
わたしの気持ちなんて分かるはずがない!

「ん~。じゃあ嫌いな教科なに?」

「は…?…英語」

「じゃ、好きな教科」

「美術…」

なに言ってるの?
分かんないんだけど。

「例えば~。英語がなんかの都合で美術に変わりました。…嬉しくない?」

「え…?」

「嬉しいよね~!嫌いが好きになったんだから!」

嫌いが好きに…?

…。ふ、ふざけないで。

「笑わせないでよ!私の嫌いはそんな簡単なことじゃないのっ。もっと大きいことなの!」

「…生きてるの嫌なんだ?」

「だからそうだって言ってるじゃん!」

「…かわいそうだね。そんな風にしか思えないなんて」

「…っはぁ!?」

なに、なんなの!?
かわいそう?私が?

…そうだよ、私はかわいそうだよ。

きっと、世の中で一番みじめでかわいそうだよ。


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