あの日あの時あの場所で。
「…っいやだっ!」

「え…?」

大声を出していた。
その声に肩をビクッと震わせた男子。

「やだやだやだやだっ!あんな日々に戻りたくない!」

「…………」

「絶対に、いや…」

そうだよ、私は今日死のうとしてたんだよ。

なのに、コイツの言葉に流されるところだった。

思い出しただけで、泣きたくなってくる。

…泣かない、泣いたら弱くなる。


「…そんなこと言っときながら、泣きそうだけど、大丈夫?」

「なっ、泣いてなんかっ…!」

「つらいなら、泣いてもいいんだよ?」

「泣くわけないじゃんっ!!」


泣いたら、笑われるだけだもん。
だから、泣かない…。

「とりあえず…落ちそうだから、こっち来なよ」

…え?
そぉ~と、下を見てみたら…。

「きゃっぁあ!落ちっる…!」

今にも落ちてしまいそうな所に立っていた。

もう、爪先は下についていないぐらい。


反射的にフェンスにしがみついて、中に飛び移った。


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