あの日あの時あの場所で。

「ビ、ビビらせないでよ!」

「ビビらせたつもりはないけど…危なかったからさ」

もぉぉぉおおおお!!
なにコイツなにコイツ!

「…で?生きるの?死ぬの?」

「それ、は…」

「あれ~?怖くてこっち来たくせに」

「っ…!か、からかってんの!?」

ちょっとムカついて、強めに反抗してみたらなぜかコイツの顔が真剣になった。

まっすぐに私を見つめるように見てきたから、そらすことができなかった。

「生きて」

「は…?」

「お願いだから、死なないでよ」

「な、に…?私が死んだって、あんたの日々になんの支障もないじゃん。関係ないじゃん。…止める意味が分かんない」

「もう、僕と君は出会ってるから。…関係なくない。君がもし今死んでしまったら、僕が後悔する」


なんなのよ、コイツ…。
さっきまで、めっちゃ軽かったくせに。

「僕が、皆の分まで悲しむ。…泣く」

「っ…」

そんなこと言わないでよ…。


…信じたくなる。

あの時から、人なんて信じたくなかった。

信じたら、裏切られるだけ。


…なのに。

「うっ…。ご、ごめんなさい―…」


こんなやつだけど、信じてみようって思えるんだろう。

「ありがとう―…」

バカなの?
なにがありがとう、よ。


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