未来の君のために、この恋に終止符を。
謝らないで、謝らせて
「花沢さん、あの……」
「っ、」
声をかけてきてくれた片岡さんの姿を見て、帰ろうとしていた私は足をとめて息をつまらせる。
慌ててふい、と顔をそらしてその場から早足で逃げ去った。
彼女の姿が見えないところまで移動して、ようやく呼吸をする。
あの日から、私がしでかした過去のことが露見してからすぐ、あっという間に学年中に広がった。
夏休みとはいえ夏期講習がある期間だったことが痛かったと思う。
立川さんは私が隠したい過去だとわかっているからだろう、あちこちにふれ回っていた。
情報源は私と晴樹と同じ中学出身だった人だとか。
世間は思っているよりも狭い。
晴樹がやめろと言ったのか、もう彼女がみんなに言っている場面には出会わないけど。
でももう、時すでに遅し。
2日が過ぎた今では晴樹が人気なこともあり、今まで以上に私は変な目立ち方をしている。
そんな状況で、私と共に話を聞いてしまった片岡さんは、何度も私に話をしようとしてくる。
基本的に他人に興味のない安藤くんはそんなことはないけど、片岡さんは委員長だから。
……優しい人だから。
だから、なにかしらの変な責任を感じているんだろう。