未来の君のために、この恋に終止符を。




「無理に言わなくていいよ。
なんとなく、わかってるから」



どうして、なにが、わかったというのか。

どういうこと、とかすれた声で囁くように尋ねる。



「タイミングは違うけど、俺が15の時にも言われたから……」



眉を下げておそるおそる、私の様子をうかがいながら告げた彼の言葉に頭が揺れた。

酔ったかのようにゆらりと、ぐらりと。



なんてことだろう。

未来の晴樹にとっての過去の私も、同じことをしていたなんて。



卑怯にも避けた、明白な言葉を使わなくても、彼は知っていた。

未来から今の私の元に訪れた時から、ずっとわかっていたんだ。

私が彼に言ったことを、彼を傷つけたことを。



こうやって、私は変わらない。

いつになっても、どんな時でも、晴樹を傷つけるばかりの存在だ。



それなのに彼は怒らずにそばにいて、ばかみたいだ。



「ごめん」



晴樹の唇から、1番聞きたくなかった言の葉がひらひらとこぼれ、舞う。



「謝らないで、っ」



跳ね上がりそうになるトーンを抑え、睨むような視線で拒否する。

現在の晴樹から謝られ、未来の晴樹からも謝られ、どうしたらいいって言うの。

謝ることさえできない私は、みじめじゃないか。



「うん。でも、ごめん。
謝ることで傷つけて、俺を傷つけさせて、……ごめん」






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