未来の君のために、この恋に終止符を。
教室は最近の噂の中心であり、黙りこんでばかりいる私が大きな声を出したことで目立っていた。
それにふたりきりじゃないし、と私たちはひとまず話ができる場所へと移動した。
悩んだ末に片岡さんが選んだのは、屋上へ繋がる階段だ。
本当なら屋上が開いていたらいいんだけど、あそこは立ち入り禁止だし鍵がないと入ることはできない。
本当はこの階段も立ち入り禁止なんだけど、確実に誰も来ないということからここで話すことになった。
少しほこりっぽい階段に無防備に腰を下ろした。
声がかんたんに反響してしまうから、囁くような小さな声で彼女が問う。
「それで、話ってなに?」
今になってなにから話せばいいのか、その前に本当に話すか、ためらってしまう自分を感じる。
それでも、私を優しく見つめる現在の晴樹と未来の晴樹の姿が頭をよぎり、なんとか自分を奮い立たせた。
「あの日から、私の過去のことが広まった日から、避けていてごめんなさい」
片岡さんの返事を聞く余裕なんてなくて、荷物をつめるように空間に自分の言葉をつめていく。
私らしくない、慌てた様子に彼女は瞳を丸くしていた。