未来の君のために、この恋に終止符を。








右側には現在の晴樹、左側には未来の晴樹。

私の大切な人に挟まれて、人の多い朝の廊下を進む。



声をかけられる現在の晴樹を黙ってそっとうかがっていると、背に未来の晴樹が触れる。

そっとさするように、風は動く。



思わず彼の方を見ると、きゅっと細められた目元が優しげで、ほっと穏やかな呼吸をこなした。



昨日、あれからめぐみと思う存分話した私は彼女と肩を並べて晴樹の元へ行った。

下駄箱の前に座りこんでいた彼が私たちを見て、嬉しそうに笑ってくれたことが嬉しかった。

安藤くんは予想通り先に帰っていたから、3人で学校を出たんだ。



駅で別れて、そして次の日の今日は夏期講習の最終日。

彼女と顔を付き合わせた時にどんな反応をするべきかと考えて、晴樹との会話はないまま教室へ向かった。



中へ足を踏み入れて、いつものように席に着く。

1限目は数学だから晴樹は私の隣、安藤くんのひとつ後ろの席に腰を下ろしたけど、人に囲まれて姿は見えない。



左隣に立つ未来の晴樹の姿を目で捉えたあと、授業の準備を進めつつぼんやりとしていると、



「おはよう、実莉」



ひょこひょことふたつ結びを弾ませて、めぐみが顔をのぞかせた。

わずかにどきどきと跳ねる心臓を抑えつけて、彼女に顔を向けた。






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