未来の君のために、この恋に終止符を。
駅のところから、少し歩き出せば、そこには出店がずらりとある。
光のアーチのように所狭しと並んで、ざわめいている。
今年もすごい人の多さだ。
「なにから行く?」
晴樹がそう言葉を投げかければ、焼きそば、綿菓子、かき氷、と次々希望があげられる。
順に並んで、買っては食べて、話して、笑っていた。
私自身が口を挟むことはあまりないけど、それでも同じ空気を共有していること。
同じ輪の中に自分がいることが、とても嬉しい。
「実莉、レモン一口ちょうだい」
しゃりっと口の中で氷が触れて、じわりと溶けていく。
かき氷を食べている最中に、めぐみのスプーンストローが伸びてきて、すくい上げてさらっていく。
「美味しいね」
「うん」
こくりと頷けば、めぐみのいちごのかき氷を目の前に差し出され、一口もらう。
最近は食べない、いちごの甘さがこの味をよく選んでいた子供の頃を思い出させた。
量が多いし、おなかが痛くなったらいけないからと晴樹とふたり、ひとつのかき氷をわけあっていた懐かしい思い出。
いつも私の選ぶいちごにあわせてくれていて、晴樹はあの頃から優しかったな。
でもこの頃の私たちは今とは違う、純粋な幼馴染だった。
恋なんて知らない、幸せな頃の話だ。