未来の君のために、この恋に終止符を。
窓から離れ、ベッドの上に腰を下ろす。
するとすぐさま未来の晴樹も私を真似るように隣に座ってみせる。
「……俺が菜津と会うの、いや?」
不安そうに眉は下がり、声には覇気がない。
そっと尋ねられた内容に私は首を横に振る。
「別に。ふたりきりじゃないし、仕方がないし」
「じゃあなんで今見てたの?」
どうやら私が思っていたよりずっと彼はさっきの私の行動が気にかかっていたらしい。
彼の勢いが普段と違い、少し驚く。
そして彼の問いになんと返すべきか、頭を悩ませる。
「多分、……嬉しかったからだと思う」
「嬉しい? 実莉を置いて行ってしまうのに?」
「うん」
晴樹はいつでも私に優しい。
大抵のことは受け入れてくれるし、拒否なんてしない。
それは私が自分でも甘やかされているなと思うほどだ。
だから、晴樹が自分を大切にしてくれていると嬉しいんだ。
学校でも友だちがたくさんいるのに、私のことを気にかけてくれる。
そばにいてくれることは安心するけど、そのせいで晴樹が共にいたい人といられないことは申し訳ないと思う。
なんの不満もなく過ごして欲しい。
でもそれは私と付き合っている時点で不可能だから、せめて幸せだと思う時間はただ純粋に楽しんで欲しい。