未来の君のために、この恋に終止符を。
深く、深く息を吸う。
勇気を出して、素直になろうと決めたから、誤魔化さないで言葉を紡ぐ。
「晴樹が遊びに行って、楽しかったと一言言ってくれるのなら、たとえ立川さんがいても私は構わない」
きっぱりとそう言い切った。
晴樹はその勢いにのまれるように、息をつめる。
そして彼はいい具合に力の抜けた、へにゃりとした笑みを浮かべてみせた。
「そっか」
納得したようで、晴樹は力を抜いて腰かけていたベッドに仰向けで寝転がる。
前髪がずれて、いつもと違うわけ目が幼くて可愛い。
普段なら見ることのない角度がもの珍しくて、ベッドに座りこむ形で乗りあがる。
真上から晴樹を見下ろし、きちんと触れられるわけでもないのに指先をそっと彼に向けた。
その時、鳴り響くスマホの音に、はっとする。
私はなにをしているんだ。
かっと頬に熱が集まるほど気恥ずかしく、慌ててベッドからおりる。
机の上に乗っていたスマホを手に取って、……電話だ。
「はい、もしもし」
誰がかけてきているかも確認せず、電話の相手に声をかけた。
そのまま電話を続行していると、はきはきとした声が耳をくすぐる。
「実莉」
電話の相手は、めぐみだ。