未来の君のために、この恋に終止符を。
あのまま、しばらくめぐみとたわいもない話に花を咲かせた。
めぐみには中学2年生の弟がいるらしく、弟の話を聞いた。
子どもっぽいからちっともモテないと笑っていたけど、バレンタインでチョコレートなんてもらって来た日には少しショックを受けるんだろう。
そう考えると笑えてしまった。
そして彼女が教えてくれたんだけど、安藤くんには妹がいるんだと。
小学4年生で、安藤くんのことが大好きらしい。
妹に対してどう接しているのかと考えるだけで、面白いなと思う。
会ってみたいなとこぼせば、「ずっと一緒にいたら、うちの弟や崇人の妹ちゃんと会う機会もあるよ」と言われ、笑って頷いた。
そんな日が来ることが楽しみで、未来に楽しみができたことにどきどきした。
自分から話を振るのに慣れていない私でも、話し上手で聞き上手なめぐみのおかげで気まずい沈黙が落ちるようなことはない。
そんなおしゃべりを楽しんで、電話を切った。
「ふぅ……」
熱のこもった息を吐き出す。
家族か晴樹しかなかった、電話の履歴の欄にめぐみの名前があるのが不思議だった。
「実莉、嬉しそう」
そう言う未来の晴樹の方がよっぽど嬉しそうだ。
手で覆い隠していた顔をしばらくしてのぞかせるようになって、ベッドの上にうつ伏せになり電話中ずっとこちらを飽きもせず見ていた。
その体勢のまま、口元は緩んでいる。