未来の君のために、この恋に終止符を。




私が黙ったまま晴樹の顔を見つめていたからか、少し恥ずかしそうに顔をしかめる。

そして私には顔が見えないように身を起こし、背を向けて座りこんだ。



「もう昼だし、ご飯でも食べなよ」



現在の晴樹でもありえないのに、いい大人な未来の晴樹に対して感じるなんてとは思う。

だけど、どこか私に対して拗ねたように、なにもかも許しているわけでないその動作は、……まるで昔の晴樹みたい。



2年前の、幼馴染の、対等な頃の晴樹みたいだ。



「実莉?」



返事のない私を不思議に思ったのか、首を後ろに回して晴樹が私の様子をうかがう。

なにもないと示すように首を軽く横に振って、立ちあがった。



「一緒に降りよう」

「別にいいけど……」



首をひねる彼を連れて、リビングへと向かう。

いつもは晴樹がいると気になるから、あまりついて来ないで欲しいと思っている私がわざわざ声をかけたのには理由がある。



「そっか、今日はおばさんいないんだっけ?」

「うん」



友だちとランチの予定のお母さんはとうにおらず、お父さんは仕事だ。

朝は目の前にいる現在の晴樹も学校はないし遊びに行っているし、そもそも今は昼だし、いるはずがない。

今日、私は未来の晴樹とふたりきりなんだ。






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