未来の君のために、この恋に終止符を。




冷蔵庫に入れてあった、お母さんの作った冷やし中華を取り出す。

ラップをはがしながら、席に着いた。



「出かけるなら別にわざわざ用意してくれなくてもいいのに」



確かにあまり料理はしないし、正直晴樹の方が私の家のキッチンを使いこなしてしまうだろう。

だけどそこまでお母さんの手を煩わせるつもりなんてないんだけどな。



「過保護すぎる」

「まぁ、おばさんもできるだけ実莉と関わりたいんだよ」

「うん……」



私たちの距離感はずれているから、仕方がないんだとは思う。

少しずつ、以前と同じように戻せたらいいな。



目の前で立ったままの晴樹にはたと気づき、正面の椅子を引いてやる。

ものに触れられない彼は椅子を動かすことはできないからだ。



「ありがとう」

「別に。目の前で立っていると気になるだけ」



そんなことを言って腰を下ろしているけど、晴樹は実際に座っているわけではない。

気分の問題らしく、だからと言って空気椅子をしているわけでもないらしい。

ご飯も食べないし、未来の晴樹には不思議な点が多い。



ぽっかりとおなかに穴が空いたような感覚で、食欲はないんだとか。

よくわからないけど、気にしなくていいと言うので黙って冷やし中華をすする。



人参にきゅうりに錦糸卵にハムにカニカマ。

具が多くて、レモンだれは爽やかで美味しい。






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