未来の君のために、この恋に終止符を。
はしゃいでいた雰囲気はがらりと変わり、晴樹は困ったように首を傾けた。
その様子を見て、難しいのだろうかと眉を下げた。
「だめ?」
「いや、いいよ。でも言えることは少ないかも」
晴樹の言葉に頷いて、少しの間なにを言うか悩む晴樹の言葉を待った。
「まず、実莉はめぐみに勉強を教えていなかった」
「え、そこから?」
「うん。だから教えているところを見たときは結構びっくりした」
そっか……と小さくこぼす。
思っていたよりもずっと前から変わっていることはあったらしい。
はじめは面倒で仕方がなかったけど、少しずつめぐみとの距離が縮まったきっかけなだけに、その時間がなかったということはショックだ。
「だからふたりがそんなに仲よくなると思ってなかった俺は、片岡に実莉の誕生日は教えてない。
実莉は崇人とお祝いしてくれたって言ってたけど、それもなかったね」
「うん……」
「俺たちの過去のことを菜津が周りに言って回ったことで、実莉は片岡との関わりは完全に断ち切っていたよ」
それは、ついこの間まで今ここにいる私も選ぼうとしていた行動だ。
めぐみから、現実から、逃げようとしていた。
あの時、晴樹と安藤くんがとめてくれなかったら、きっと私は今でも孤独で虚しい夏を過ごしていただろうと予想することは難しくない。
「他にも色々あるけど、今のところ、大きく違うところはこれくらいじゃないかな」